南シナ海の問題について

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南シナ海の問題について

中国軍の孫建国副総参謀長(軍幹部)は5月31日、シンガポールで開かれていたアジア安全保障会議で、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が進める岩礁の埋め立てについて、「完全に主権の範囲内であり、合法で道理にかなったものだ」と主張しました。これは、米国のカーター国防長官が30日に要求した埋め立ての即時中止に応じないというものです。孫氏はさらに、この「人工島」は「軍事防衛の需要を満たすため」と説明しました。中国として、島の建設が軍事目的であることを認めたということです。このように南シナ海の領有権をめぐる中国や米国、周辺国の対立が激化しています。

南シナ海とは中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどに囲まれた海域です。原油などの海底資源が豊富とされているほか、重要なシーレーン(海上交通路)となっており、東アジア向けの石油タンカーなどの多くがここを航行しています。中国だけでなく、中東の石油に頼る日本にとってもかなり重要な海域です。中国は南シナ海の地図上に「九段線(きゅうだんせん)」という境界線を引いて、多くの海域を自国のものだと主張しています。(これは1950年代から中華人民共和国がその全域にわたる権利を主張するために地図上に引いている、9本の点線のことです。)フィリピンやベトナムなどが領有権を主張する南沙諸島なども含まれており、関係国は反発しているのが現状です。特にその中でも問題となっているのが、中国が実効支配する南沙諸島の7カ所であり、現在、岩礁などを埋め立てて、「人工島」を造成していることは日本のマスコミも多々報道しています。今年に入りそのペースは加速していており、埋め立て面積は昨年末の4倍に達しました。中国側は人工島に滑走路や港を建設しており、中国は当初「災害救援などのため」と主張していましたが、今回の発言をうけ、軍事目的である事が明確化し、南シナ海への軍事的な支配を強めることで海洋への出口を確保する狙いがあるとされるています。米国は基本的には領有権紛争には関わらないという立場ですが、南シナ海で中国が軍事力を強化すれば、「航行の自由」が脅かされアメリカの利権が損なわれるとして反発しています。そのため、同盟国のフィリピンなどを支援し、中国をけん制しています。また、米国は強力な海軍を誇っており、中国の海洋進出を阻止することは周辺国からの信頼や米国自身の権益の維持にもつながるという側面もあると言います。米国は中国が埋め立てを停止しない場合、中国が「領空」「領海」とする人工島の12カイリ(約22キロ)以内に米軍機・軍艦を進入させると警告もしています。

日本政府の対応はというと、日米両政府は今年の4月27日、防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定しました。これはアジア太平洋とその地域を越えて平和と安定をより確実にするために日米協力をさらに深化させるものです。また、海上自衛隊と米海軍の艦船はすでに昨年10月から約1カ月間、南シナ海を共同航行しました。さらに南シナ海で共同訓練も実施しています。地域の平和と安定のための日米協力は今後も続けられるでしょう。安倍首相は衆院平和安全法制特別委員会で、米軍への後方支援が可能となる「重要影響事態」の活動地域について、「個別具体的なことを言うのは差し控えたいが、南シナ海である国が埋め立てをしている」と答弁しました。「様々な出来事が起きている中で具体的に法律の対象にするかは言及を控えるが、可能性があれば法律を使えるようにする」と述べ、南シナ海で「重要影響事態」と認定できる事態が起きた場合、自衛隊が南シナ海で米軍の後方支援を行う可能性を示唆しました。しかし、実際のところ、中国が南沙諸島での埋め立て、軍事要塞化を即刻中止しない限り、南シナ海をめぐる日米VS中国の対立がさらに深刻さを増すのはもはや避けられない情勢です。いずれ尖閣諸島が二の舞になるかもしれないこの事態を、日本国民として、または各政治家も注視すべきだと考えています。

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